Touit 32mm F1.8 購入レビュー Carl Zeissというレンズの魔物
こんにちは、ゆーすふる(@yo_uthful)です。
最近、APSサイズのカメラの魅力を再認識しまして、 APS用の小型レンズがほしくなってしまっていました。
どうせ買うなら飾りにならないようしっかり使えるAPSらしい小型レンズにしようと思っていたのですが。
ついに手を出してしまいました。。。
カールツァイスレンズ。
標準画角の単焦点レンズ「Touit 32mm F1.8」を購入しましたので、作例含めてファーストインプレッションを語らせていただきます!
- Carl Zeiss
- カールツァイスレンズの特徴
- Carl Zeiss製とソニー製カールツァイス銘
- レンズタイプ
- Touit 32mm F1.8
- スペックをみてみる
- NEX-7にセット
- 作例 with NEX-7
- α7RⅢにセット
- ファームウェア更新は絶対にしよう
- AFについて
- 作例 with α7RⅢ
- インプレッション
- おまけ
Carl Zeiss
軽くカールツァイスについて触れておきます。僕なんかより詳しい方はたっくさんいると思うので素人的な理解でざっくりお話します。
Carl Zeiss(カールツァイス社)は1846年ドイツ発祥の老舗光学メーカーです。150年以上も前からあるなんてすごいですね。そこから100年で 大学研究向けなどの光学機器を世界最高水準で作っていました。(wikiで知りました。)
カメラ向けのレンズももちろん作られていましたが、第2次世界大戦で岐路ができます。ドイツが東西に2分されたことで、カールツァイスも大きな影響をうけます。
東側のカールツァイスは「カールツァイス・イエナ」
西側のカールツァイスは「カールツァイス・オプトン」
を名乗り、それぞれが一流光学メーカーとして光学機器を手掛けてきたそうです。
そして東西が統一されたのちは、もとのカールツァイス名にもどり現在に至ると。
歴史的な背景も知るのも面白い。当時はいろいろな苦労があったかと思いますが。
Carl Zeiss Jenaの文字。
僕もカールツァイス・イエナ時代のレンズを一つ所有しているのですが、今でも問題なく使えますし、こんな長きに渡って使える高品質なものを作れるメーカーというのもすごいですね。レンズは資産、間違いない。
オールドレンズはミラーレス一眼の登場でさらに陽の光が当たっている感じですよね。
そんな盛り沢山な歴史をもつCarl Zeissレンズはカメラユーザーなら一度は聞いたことがあるし、憧れるレンズなのです。
憧れの存在だけあって、その分値段も高いのですが。
カールツァイスレンズの特徴
僕が感じているカールツァイスレンズの特徴は、なんといってもそのコントラスト。コントラストが高すぎるってわけではないのですが、被写体の立体感をぐっと浮き立たせて、まるでそこにあるような存在感、その場所の空気感が伝わってくるようなところまで再現してくれる力を持っている感じです。
レンズ内部の設計はもちろん、高いコントラストを実現するためにレンズのコーティングにも力を入れています。
色再現性にも優れており、、、
まぁ、写真を撮るとあれです。
質感が分かるくらいシャッキリ写って気持ちの良い写真が撮れます!
これです。
Carl Zeiss製とソニー製カールツァイス銘
と、ここでちょっと注意点。
僕もこのブログでいくつかのカールツァイスレンズを紹介していますが、実はそれはソニー製のカールツァイスレンズ。
製造はソニーが行っているので日本製です。ソニーが設計をして、その設計基準をドイツのカールツァイスがチェックして認めたものがCarl Zeissのバッジがつくという感じのようです。カールツァイス銘のソニー製レンズ。
なので、品質は間違いなくCarl Zeiss。
なので、値段もCarl Zeiss値段。
でも、みんな憧れて買ってしまう。
ソニー製カールツァイスレンズの最大の特徴は、画質はカールツァイス監修なのですが、他のレンズ技術、例えばオートフォーカスはソニーの監修となるので、最新のレンズ駆動技術にカールツァイスの画質が組み合わさる。ということです。
そういう面では機能的に利点が多いかとも思いますが、ツァイスレンズは違うところに人を惹きつける魅力があるのでしょうね。
ぜひ感じてみたい、その魔法のような魅力。
Carl Zeiss製カールツァイスレンズは沢山のラインナップがありますが、そのほとんどがMF専用レンズです。
最近はカールツァイスもAF有のレンズをソニーEマウントとフジXマウント向けに販売していて、今回紹介するレンズもAF対応レンズになります。
レンズタイプ
Carl Zeissのレンズには設計デザインのタイプがいくつかあります。レンズ構成などによって決まっているようですが(詳しくない)、ここではいくつかをざっくり特徴を紹介しますね。
- Planar:美しいボケが特徴。それでいてピント面はシャープな写り。
- Distagon:広角レンズに使われる。周辺までキリッと解像してくれる。
- Sonnar:解像度が高く、硬めの描写が特徴。
- Tessar: コントラストの高さが特徴。コンパクト設計に向いている。
この中でいうと、これまでPlanarだけは使ったことがありませんでした。
Touit 32mm F1.8
で、今回購入したのがこの「Touit 32mm F1.8」。
中古の並品で4万円程度。憧れのCarl Zeissなのでなんだかお買い得に感じてしまいます。
このTouitはソニーEマウントとフジフイルムXマウント向けに販売されているAPS-C用のCarl Zeissのレンズシリーズです。
Zeiss製のレンズですが、AFにも対応しているのが特徴で、APS用ということもあり小型な単焦点レンズのシリーズという感じ。
箱から取り出してみて、まず
え、超カッコいい。
すごいスマートなフォルムです。ピントリングはゴム製で、ここはちょっと汚れが目立ちやすそう。Touitの文字はしっかり彫り込まれていて高級感があります。
実は同じTouit 32mmでもEマウントとXマウントではデザインに違いがあります。Xマウントではピントリングだけではなく、絞りリングもついています。これがまたカッコいいんです。Eマウントでも絞りリング欲しかった。
フードの形状もなんだか独特。
しっかりとPlanarの文字。
はじめてのPlanar型、楽しみ。
スペックをみてみる
ちょっと仕様も見てみましょう。
比較用としてAPS時の画角が近いSEL35F28Zを載せておきます。
項目 | SEL35F28Z | ZEISS Touit 1.8/32 |
名称 | FE 35mm F2.8 ZA | Touit 32mm F1.8 |
デザイン | Sonnar型 | Planar型 |
発売日 | 2013/11/15 | 2015/8/6 |
Amazon新品価格 (2019/12時点) |
¥69,890 | ¥68,558 |
Amazon中古価格 (2019/12時点) |
¥44,800 | ¥39,980 |
対応マウント | E-Mount | E-Mount |
対応撮像画面サイズ | 35mmフルサイズ | APS-C |
焦点距離(mm) | 35 | 32 |
画角(°) | 63 | - |
APS時換算(mm) | 52.5 | 49 |
APS画角(°) | 44 | 48 |
開放絞り(F値) | 2.8 | 1.8 |
絞り羽根(枚) | 7 | 9 |
最短撮影距離(m) | 0.35 | 0.3 |
最大撮影倍率 | 0.12 | 0.11 |
レンズ内手ぶれ補正 | × | × |
質量(g) | 120 | 200 |
APS用のレンズとして考えるとぱっと見、大きなスペックの違いはなさそうですね。価格帯もほぼ一緒。
ただ、開放F値と絞り羽根の枚数からするとTouitではきれいなボケを楽しめそうです。Planarタイプの設計ですしね。
NEX-7にセット
APSのEマウントカメラ、「NEX-7」に装着。
サイズ感もバッチリ。Carl Zeissのバッジが映えます。
重さも200gなので、そんなに気になりません。ほんとちょうど良いサイズと重さですね。
フードをつけて手に持つとこんな感じ。
見た目が結構ズッシリしてそうな感じなんですけど、持ってみるととっても軽い。
サイズ感と重さはとりあえずバッチリ。
ただ、見た目ですね。やっぱりXマウント版の方がデザイン的に好みです。マウント側の根本がちょっとツルッとしすぎなのが気になりました。
作例 with NEX-7
では、NEX-7とTouitで撮った写真を紹介します。
近くのスーパーまで買い物に出かけた際に、適当に撮った一枚。
ボケがなんだかやわらかい。やさしい。
開放F1.8での撮影です、APS機でも十分なボケ量ですね。
空気感が伝わるとはこのことなのかな。
ヘッドホンについたホコリ、ヘッドバンド部分の質感が写真から伝わってきませんか。
スナップ的な使い方でも良し。
コンパクトなカメラシステムにできるので、取り回しがとっても楽。
比較用にだしたSEL35F28Zで同じ場所から撮るとこんな感じ。
画角の違いはそんなに大きくはないですね。
手前のボケ感も比べてみると、どうでしょうか。個人的にはTouitの方がうるささがなく、やさしいボケだなと思います。
NEX-7もちょっと昔のカメラですが、Touitとの組み合わせで全然問題ないです。しばらくNEX-7にはこのレンズをつけっぱなしでも良いかな。
α7RⅢにセット
意外としっくりきてしまったのが、こちらの組み合わせ。
フルサイズミラーレスのα7R3との組み合わせです。同じEマウントなのでレンズ装着は全く問題ありません。
Touitは前述の通り、フルサイズフォーマットには対応していないのですが、α7シリーズにはAPS用レンズがつくと自動的に画角がクロップされる機能もついているので動作的にはなんの不自由もなく使用可能です。
ただし記録画素自体はAPSサイズで減ることになります。
α7R3で使用する場合は、記録画素数は1800万画素、焦点距離はフルサイズ換算で49mmです。
ファームウェア更新は絶対にしよう
ここでぜひおすすめしたいのが、Touit32mm F1.8のファームウェアアップデート。
発売当初、TouitはAF時の動作音とスピードが不満点としてあがることが多かったようなのですが、ファームウェアアップデートにより「像面位相差AF」にも対応できるようになったのでAFが爆速になります!
新品を購入すれば問題なく最新のファームウェアからスタートできると思いますが、僕のように中古でTouitを購入した場合は、ファームウェアの確認をまずしましょう。
Ver.02と表示されなけでば、古いファームウェアのままなので、更新手続きを進めます。
で、更新する場合、Eマウント版は注意が必要です。なんとEマウント版はネット経由でのファーム更新に対応していないため、日本のCarl Zeiss社にレンズと書類を送付する必要があるとのことです。
●Carl ZeissのWebサイト
AFについて
僕が購入したTouitは中古品でしたが、運良くファームウェアはVer.02が入っていました。
購入前にレビュー記事や動画を可能な限り見まくりましたが、ネット上の評判では(ファームウェアがアップデートされる前だと思われる)、オートフォーカススピードが遅すぎて、ソニー製に遠く及ばないといったコメントが多くあり実用性として不安でした。
実際に使ってみると、風景写真などが多めの僕の場合はそこまで気になるほど遅いという感じではなかったです。
NEX-7との組み合わせではカメラ本体も古いので、なんだか懐かしい動作だなという感覚。一方で、α7R3との組み合わせでは、位相差AFも使用可能なのでAFスピードは軽快で全く問題なしです。
ファストハイブリッドAFに対応しているαシリーズで使う予定を考えている方はファームウェアアップデートは必須かなと思います。
ただし、AF音はかなり激しいので、動画撮影には向かないと思われます。(比べるとAマウントの撒き餌レンズ並にうるさい)
実際、動画を何回か撮影してみましたが、ジジーーーというAF音が明らかに動画内におさまってしまっていました。ここはちょっと注意ですね。
作例 with α7RⅢ
α7R3とTouitの組み合わせで撮った写真を少し紹介します。
フルサイズ機であれば、高感度でもノイズが少なくて済みますのでISO感度も積極的に上げてしまっても大丈夫です。
眩しいほどの晩秋の色。
イメージ通りの空の色で撮れる感触です。
F4で撮影したもの。
ピント面の手前の木々はシャッキリ解像感ばっちりですが、奥の葉はとても自然な形でボケているように感じます。
フルサイズで使ってもうるさいボケにはなってないようですね。
こういった直線が多い建造物でもしっかり解像してくれます。
1800万画素にはなりますが、必要十分です。
Rシリーズの魅力を存分に感じながら撮影できました。
換算49mmという画角はほぼ50mmなので、スナップ写真に丁度いいですね。ツァイスらしいコントラストの画がしっかりでてくるので、撮るのが楽しくなります。
とにかく色が撮りたくなるようなレンズです。
季節的なものもありますが、オレンジや赤、空の色なんかを撮りたくなります。
なんだか、解像度を楽しむための写真ばかりで、Planarなのに肝心のボケ味を楽しむ写真が全然ない。。。
しかしクロップ撮影がここまで実用的だとは思ってもみませんでした。
高画素フルサイズ、最高。
インプレッション
とにかくこの値段でAFの使えるPlanarが楽しめるのは超お得だと思いました。レンズ自体も重くもないし大きくもない。
スペック通りAPSカメラにつけて小型セットで楽しむのももちろんOKですが、フルサイズ機につけるのがかなりアリだと感じました。
- 中古だと値ごろ
- 見た目はXマウント版の方が好き
- ファームウェアアップデートは必須
- うるさすぎない自然なボケ味が魅力
- 軽くてスナップ向きレンズ
APS機のために買ったのに、フルサイズ機で使うことに魅力を感じてしまう。
あーもうよくわからない(笑)
これもレンズ沼の面白い、抜け出せないところといった感じでしょうか。
おまけ
仕事でドイツのイエナに一回行ったことがあるのですが、夜ご飯を食べている時に地元の人に話しかけられました。
僕の持っていたソニー製のデジカメをみてこう言われたのです。
「どこからきたの?」
日本です。
「それは真のツァイスじゃないからね(笑)(的なことを言ってた)。」
ギクッッ。なんか馬鹿にされるのかな。
「Carl Zeissは今は顕微鏡や医療用機器でなんとか頑張ってる、カメラのレンズメーカーってイメージはそんなにないんだ。(的なことを言ってた)」
へー。
「でもカメラのレンズとしてCarl Zeissを知ってくれているのはとっても嬉しいよ。ミュージアムも見ていってね。」
的なことを言って握手してくれました。
ツァイスの地元でツァイスの会話ができたのがとっても嬉しかった良い思い出。
オトとヒカリαはにほんブログ村に参加しています。
投票いただけると大変うれしいです。